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<プレスリリース>導入剤を使わずに肺内で遺伝子発現を抑制 吸入可能なnaked siRNA高含有粉末製剤を開発 (薬学部・奥田 知将)

公開日時:2026.10.19
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特定の遺伝子の発現を抑えることで病気の治療を目指すsiRNA医薬は、現在、臨床応用が肝疾患に限定されており、他の疾患への適応拡大が強く望まれています。特に、肺疾患の治療に向けては、siRNAを肺内に直接送達できる吸入剤の開発が求められています。

名城大学薬学部の奥田 知将 准教授 (薬物送達学、製剤学) のグループは、コレステロールを化学修飾したnaked siRNA 注1)を高含有率で配合しつつ、安定性を備えた吸入粉末製剤の開発に成功しました。
siRNA の細胞内への送達には、導入剤が広く用いられていますが、その毒性が課題となる場合があります。本研究では、導入剤を用いずに遺伝子発現を抑制できる製剤の開発に取り組み、優れた肺送達性を実現するとともに、肺内で遺伝子発現を抑制できることを明らかにしました。
本成果は、導入剤を用いないnaked siRNAの吸入粉末製剤化の実現可能性および有用性を示すものであり、肺疾患治療への応用展開が期待されます。

本研究成果は、2026年10月5日にElsevier B. V.社が出版する国際学術誌「International Journal of Pharmaceutics」に掲載されました。
 
【ポイント】
・naked siRNA の高含有粉末製剤化に成功: コレステロール修飾naked siRNAを10%または20%の高含有率で配合し、製剤化後もsiRNAの化学構造と遺伝子発現抑制活性を維持
・優れた肺送達性を実現: 吸入による肺送達率が約 60%に達し、既存の吸入剤で報告されている 20-50%を上回る性能を確認を上回る性能を確認
・導入剤を使わずに肺内で遺伝子発現を抑制: 肺転移モデルマウスへの気管内投与により、肺内の標的遺伝子の発現抑制効果を確認するとともに、今回の評価条件下で明らかな肺障害や炎症を示す変化がないことを確認


 

【論文情報】
雑誌名:International Journal of Pharmaceutics
タイトル:Development of inhalable dry powders with a high content of naked cholesterol-modified siRNA by spray freeze drying and spray drying techniques
(噴霧急速凍結乾燥法および噴霧乾燥法による、吸入可能なコレステロール修飾naked siRNA高含有粉末製剤の開発)著者名:Tomoyuki Okuda, Kotone Oshiro, Mayu Sakakibara, Takashi Murakami, Hirokazu Okamoto
(奥田知将、大城琴音、榊原茉優、村上 孝、岡本浩一)
掲載日: 2026年10月5日
DOI: 10.1016/j.ijpharm.2026.127308  

 


 

【用語解説】

注1 naked siRNA
導入剤などの送達担体を用いずに、単独で取り扱うsiRNAを指す。本研究では、コレステロールを化学修飾したsiRNA (Chol-siRNA) も対象としている。

注2 RNA干渉
二本鎖RNAと相補的な塩基配列を有するmRNAが分解あるいは翻訳阻害される遺伝子発現抑制機構のことで、ウイルスに対する感染防御としても機能している。この機構の発見者であるAndrew Z. Fire氏とCraig C. Mello 氏は、2006年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。siRNAを細胞内に導入することで、人為的にRNA干渉を誘導することができる。

注3 導入剤
核酸を細胞内へ効率よく送達するために用いられる物質。主に正電荷を有する高分子やナノ粒子が用いられ、負電荷を帯びた核酸との静電的相互作用を介して、複合体の形成やナノ粒子への封入が行われる。これにより、核酸の安定性を高めるとともに、細胞内移行性を増大する。mRNA ワクチンに応用されているLNPも導入剤に該当し、副作用の原因である可能性が指摘されている。

注4 噴霧急速凍結乾燥 (spray freeze drying: SFD) 法
成分溶液を液体窒素中に噴霧することで、液滴を瞬間凍結し、凍結乾燥機内で昇華により溶媒を除去する乾燥技術。凍結した液滴中の溶媒が除去される過程で空洞が形成され、中空多孔性に富む球状の粉末微粒子が得られる。また、凍結した液滴の表面積が大きいため、従来の凍結乾燥法よりも乾燥時間を短縮できる利点もある。

注5 噴霧乾燥 (spray drying: SD) 法
成分溶液を高温気流中に噴霧することで、蒸発により液滴中の溶媒を除去する乾燥技術。蒸発の進行に伴って液滴のサイズが小さくなるため、極微細な球状の粉末微粒子が得られる。海外では、この技術を基に開発した吸入粉末製剤が実用化に至っている。

 


 

【プレスリリース本文はこちら】

https://www.meijo-u.ac.jp/news/asset/4d1cf9eef5d704dad91a1ac9625ff49f.pdf

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