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- <開催レポート>カーボンニュートラル研究推進機構 第8回研究交流会を開催(2025/6/19)
名城大学カーボンニュートラル研究推進機構は、第8回研究交流会を2025年6月19日(木)に対面で開催しました。当日はコアメンバーや研究交流に関心のある教員など26名が参加しました。
コアメンバーは、当機構の3つの研究グループ「政策」「環境」「新素材」のいずれかに属している本学の研究者で構成され、その研究分野は多岐に渡っています。この研究交流会は、研究分野や学部の垣根を越えてコアメンバー間の相互理解を深め、メンバー同士の交流の促進を図ることを目的に2022年度から開催されており、今回で8回目を迎えました。
はじめに
大野 栄治 機構長(副学長・都市情報学部・都市情報学科)が開会のあいさつとして、「この研究推進機構が立ち上がったのは2022年4月。活動は4年目に入ったところで、機構のコアメンバーは、現在66名に達している。各研究者がカーボンニュートラルに資する研究活動に邁進することに加え、異分野の交流を活発化して新たな知恵や価値を創造しようとするところに、この研究推進機構の設置の意味があると考えている。まず共同研究の一歩を踏み出していくために、フィジビリティスタディという研究助成も行っている。カーボンニュートラルの実現には、文系も含めた幅広い分野の融合が鍵となる。学内の研究者の積極的な参加を期待している」と話しました。
FS共同研究報告
次に、2024年度に実施されたフィジビリティスタディ共同研究(以下、FS共同研究)について、研究代表者2名から研究成果の報告がありました。
「培養肉の安全性に関するフィジビリティスタディ」
岡本 誉士典 氏(薬学部・薬学科)
「私は生体内の薬の測定を得意とし、衛生化学の分野で人の健康を守る活動を行っている。この研究では、培養肉の環境負荷軽減や動物福祉の向上に着目し、培養肉の安全性や品質管理に役立つ技術の確立を目指した。具体的には、牛肉の抽出液を分析し、メタボロミクス解析を用いて肉の種類ごとに特徴的な代謝パターンを特定することに成功した。世界的に食肉需要が増加する中、微生物汚染や化学物質の混入を正確に評価できる方法の開発が必要である。今後は、細胞を用いた安全性評価や、より正確な状態把握を進めていきたい」と話しました。そのうえで、「現在、培養肉自体が入手できないため、牛や豚の細胞を用いた評価を行いたい。そういったリソースがあれば提供いただきたい」と呼びかけました。
「低環境負荷型リサイクルを指向した微生物マイクロコズムによる金属の生物変換」
細田 晃文 氏(農学部・生物環境科学科)
「この研究では、リチウムを微生物で回収できるかをテーマにしている。リチウムは電気自動車のバッテリーに使われており、将来的にはリサイクルが必要である。従来のリサイクル方法はエネルギーや環境負荷が高いため、微生物の金属酸化や還元の性質を利用してリチウムの溶出や回収を目指す研究に取り組んだ。土壌中の微生物を培養してリチウムの濃度変化や微生物の種類を分析したところ、微生物がリチウムを溶かす可能性や乳酸などの代謝物が関与していることがわかってきた。今後は、微生物の働きや反応メカニズムを詳しく解明し、低コストで環境負荷の少ないリサイクル技術の実現を目指したい」と話しました。
研究紹介
菅沼 睦美 URA(学術研究支援センター)による2025年度FS共同研究応募説明のあと、4人の研究者から研究紹介がありました。
岡田 啓 氏(理工学部・電気電子工学科)は、デジタルサイネージを用いた情報伝送の研究について説明し、視覚情報にデータを埋め込む新たな方法を提案しました。
冨岡 徹 氏(外国語学部・国際英語学科)は「陸上競技場はなぜ左回りなのか」と題し、文化的・歴史的観点からその理由を考察し、特に右利きの人間の特性との関連性について述べました。
伊川 正樹 氏(法学部・法学科)は、少子高齢化に伴う所有者不明土地の増加問題について述べ、九州と同じ面積の土地が放置されている現状を指摘するとともに、京都では地域活性化のために固定資産税の上乗せを行う新税の導入が予定されていることを紹介しました。
寺本 篤司 氏(情報工学部・情報工学科)は、医療AIの研究分野において、診断支援のための画像解析技術や生成AIの活用が進む現状を解説し、自身が取り組む医師の負担軽減を目指した研究について紹介しました。
発表後は、お茶やお菓子を食べながら和やかな雰囲気の中、発表内容への質問や今後の共同研究などについて活発な意見交換が行われました。
さいごに
小高 猛司 副機構長(総合研究所長・理工学部・社会基盤デザイン工学科)より、自由な意思でたくさん集まった参加者への謝意
第9回研究交流会は、9月を予定しています。みなさまの参加をお待ちしています!
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