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<レポート>「流動化処理土の内部構造に及ぼす配合条件の影響 ― NanoTerasuによるX線CT観察 ―」(2026/10/30)

公開日時:2026.11.04
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理工学部社会基盤デザイン工学科の小髙猛司教授の研究グループは、2026年10月30日、NanoTerasuのビームラインBL09Wにて、流動化処理土の硬化メカニズムを解明するためのX線CT実験を実施しました。当日は、小髙教授、芝辻さん(社会人博士課程1年、徳倉建設)、加藤さん(修士課程1年)の3名が実験に臨みました。
 
 

流動化処理土とは?

昨今社会問題となっている「地盤の陥没」。その対策工法の一つに「流動化処理土」、通称「流し込める土」があります。建設発生土に水とセメント系固化材を混ぜ、流動性を持たせた材料で、いわば「土のコンクリート」です。液状のまま地盤の隙間に流し込み、後からほどよく固まることで良質な地盤を形成します。
しかし、この材料が硬化する過程で、内部の「間隙(すきま)」がどのように変化し、最終的な強度がどのように発現するのかは十分に解明されていません。小髙教授と芝辻さんは、この硬化メカニズムの解明に取り組んでいます。
しかし、この材料がどのように固まり強度を発揮していくのか、その硬化メカニズムは未だ十分に解明されていません。小髙教授と芝辻さんは、メカニズム解明の第一歩として、硬化の過程で変化する「内部の間隙(すきま)」と「発現強度」の相関関係に着目し、定量的評価に向けた研究に取り組んでいます。
 

NanoTerasuで「硬化の瞬間」を捉える

研究の鍵となるのが、NanoTerasuの高輝度放射光を用いたX線CTです。試料を回転させながらX線で撮影し、連続断面から内部を3Dで再構成する手法で、試料を壊すことなく内部構造を観察できます。
「流し込める土」の硬化は、セメントの水和反応によって数時間から数日のスケールで進行します。従来のCT装置では撮影に長時間かかるため、撮影中に硬化が進んでしまい、「ある瞬間」の構造を正確に捉えることが困難でした。NanoTerasuの高輝度放射光は、短時間で高分解能の撮影を可能にし、硬化途中の「スナップショット」を鮮明に記録できます。
 

配合条件を変えて、硬化に影響を与える要因を探る

今回の実験では、セメントの種類や量、材齢(硬化日数)、養生温度など、配合条件を系統的に変えた複数の試料を用意し、それぞれの条件が硬化後の内部構造にどのような違いをもたらすかを検証しました。
例えば、同じ配合の試料を硬化の初期段階から28日目まで複数の時点で撮影することで、間隙構造の時間変化を追跡します。また、異なる種類のセメントを使った場合や、セメント量の多寡が空隙の埋まり方にどう影響するかも比較します。
さらに、NanoTerasuの実験現場で試料を作製し、硬化前の状態を、その場で撮影するという試みも行いました。硬化の「出発点」を記録することで、時間変化をより正確に把握することが狙いです。
 

今後の展開 画像からAIで間隙率を数値化する

取得したCT画像は、画像補正の後、AI画像解析ソフトウェアを用いて解析します。人が手動で間隙と土粒子を塗り分けた「教師データ」をAIに学習させ、全断面を自動で分類し、配合ごとの間隙率や間隙サイズ分布を定量的に算出します。
芝辻さんは「今回の実験で得られたデータをもとに、配合条件と内部構造の関係を定量的に明らかにしていきたい」と今後の研究への意気込みを語りました。
 

 
 

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