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<開催レポート>カーボンニュートラル研究推進機構 第4回研究交流会を開催(2023/11/02)

公開日時:2023.11.13
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名城大学カーボンニュートラル研究推進機構は、コアメンバーによる第4回研究交流会を2023年11月2日(木)に対面で開催しました。当日はコアメンバーを中心に20名が参加しました。

 

コアメンバーは、当機構の3つの研究グループ「政策」「環境」「新素材」のいずれかに属している本学の研究者で構成され、その研究分野は多岐に渡っています。この研究交流会は、研究分野や学部の垣根を越えてコアメンバー間の相互理解を深め、メンバー同士の交流の促進を図ることを目的に昨年2022年度から開催されており、今回で4回目となります。

 

はじめに、大野栄治機構長(副学長・都市情報学部・都市情報学科・教授)が「この研究交流会も今回で4回を数える。今日はコアメンバー5名の自己紹介を兼ねた研究紹介を予定しており、多様な研究内容を再び聴けることを楽しみにしている」と話しました。その後、前回の研究交流会で説明のあったFS共同研究費(コアメンバーのみ対象)の交付が決まった4件を紹介し、今後の当機構の活動予定にも触れました。

 

 

続いて、自身の研究紹介を中心とした自己紹介(1人あたり約5分間)を以下の5名が行いました。

【発表者】

<政策グループ>

水野 隆文(都市情報学部・都市情報学科・教授)

『深層学習を応用した動線解析・人流制御と什器配置最適化』『経済財として考える情報システム』

杉浦 伸(都市情報学部・都市情報学科・助教)

『コンジョイント分析と階層分析を融合した評価法の提案の検討』

<環境グループ>

平岩 陸(理工学部・建築学科・准教授)

『硬化コンクリート研究と間伐活動』

景山 伯春(理工学部・大学院総合学術研究科・教授)

『シアノバクテリアの環境応答機構』

黒川 裕介(農学部・生物資源学科・助教)

『イネ耐水性機構の解明:水中の葉に形成される”ガスフィルム”(空気層)とは?』

 

 

それぞれの発表の内容について、たくさんの質問や意見があがりました。そのうちの一部をご紹介します。

 

「林業などにおいて、CO2を固定したことをどうやって経済効果に持っていくか。Jクレジット制度などを利用することで光明は見えるか」といった発言に対して、環境グループの平岩准教授は、「山主と話をしていると、山を持っていることに価値を見出すことができない、お金にならないという声をよく聞く。世の中的には『山』に価値があるものの、山主に直接的な利益を生み出すことができていない。個人や小さな企業体が個別にJクレジット制度を利用するというのは難しいと思う。個人にも還元ができる仕組みづくりや政策が必要になると思う。ただ、林業がジリ貧であることは間違いないので、現場の声を聴きながらできることを考えたいと思う」と話しました。ほかにも「自治体がそういう仕組みを考えるべき」「ゼロカーボンシティ宣言をした自治体にアプローチすると効果的だろう」などの話題が出ました。

 

また、「データ収集のためにカメラを設置した場合、個人情報保護の問題が非常に大きい。人数データの蓄積が完了したら、自動的に画像データがすべて消去されるカメラなどもあるが、今後、そういった個人情報をどう管理していけばよいのか。実際に測定のためにカメラを設置する際のアドバイスなどがあるだろうか」というコメントに対して、「真上から撮影すれば顔などが映らない」「人数データだけでよければ、床にセンサーを置いて通過した人をカウントすれば」などの意見があがりましたが、政策グループの水野教授は「個人情報を記録されている側は、どんな配慮がなされているかをわかっていないことが多い。お店の前にカメラが設置されていると、それだけでその店に行きにくくなるバイアスがかかる可能性もある。一番重要なのは、情報を取られている側が、情報は取られているんだけれど、重要な個人情報までは取られていないということが一目瞭然でわかる仕組みを作ることだろう」と話しました。

 

「イネの新しい品種を開発して『名城大ブランド米』などとして特許を取れば、大きな利益が生まれそうだと思った」というコメントに対して、環境グループの黒川助教は、「残念ながら知財の有効期間内には使ってもらえず、切れてから広まるのが常である。一番有名かつ人気の品種である『コシヒカリ』も知財がすでに切れている。そのため、難しい部分も多いが、日本国内ではこれ以上収量性を上げることは効果的ではないので、今後は嗜好的なものや栄養素に重きを置いた品種改良が進むだろう。環境負荷が低いということも重要視される」と話しました。ほかにも「稲作によるメタン排出が問題視され始めているが、海外へはどう展開すべきだろうか」というコメントに対しては、「世界の三大穀物はイネ・小麦・トウモロコシだが、小麦とトウモロコシは水が少なくても育つ。世界的に大規模な水害が多発していることを逆説的に考えると、イネを育てる環境が広がっているかもしれない」とも話しました。

 

 

次に、吉永美香(理工学部・建築学科・教授)環境グループリーダーから、本学でも導入している『Web of Science(世界最大級のオンライン学術データベース)』の活用方法の紹介がありました。論文執筆などの際に利用する基本的な「論文検索」「研究者検索」だけでなく、EndNote onlineを使用した「文献管理」や自身の効果的な情報発信にも使えることが紹介されました。

 

続いて、事務局から前回の研究交流会で推奨のあったプレスリリースの実績についての報告がありました。本学のカーボンニュートラル関連のプレスリリースは、現時点で日本語6件・英語(EurekAlert!掲載)4件で、昨年度よりも増加し、今後も複数予定されていることが報告されました。加えて、産官学連携・研究支援サイト(MRCS)の新規コンテンツについても紹介がありました。

 

最後に、大野機構長(副学長・都市情報学部・都市情報学科・教授)が「当機構では研究費の支援から成果の情報発信まで、さまざまな形での研究環境の整備を進めている。今後、コアメンバーの研究活動がますます活発になることを期待している。分野や学部をまたいだ学際的な分野融合の研究を進めてカーボンニュートラルの達成を目指そう。今後も研究交流会を継続していくので、楽しみにしていてほしいし、新たな話題提供をお願いしたい」と述べて閉会しました。

 

次回は3月に開催を予定しています。

当機構の位置づけと役割および各グループの紹介

カーボンニュートラル研究推進機構

https://sangaku.meijo-u.ac.jp/carbonneutral/

 

<開催レポート>カーボンニュートラル研究推進機構 第1回シンポジウムを開催(2022/10/10)【後編】

https://sangaku.meijo-u.ac.jp/post-5066/

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