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- <レポート>「低速および高速で充放電されたリチウム電池内のリン酸鉄リチウム正極材料表面の電子状態をNanoTerasuで分析―高速充電可能なリチウム電池開発に向けた基盤データを取得」(2026/08/06)
<レポート>「低速および高速で充放電されたリチウム電池内のリン酸鉄リチウム正極材料表面の電子状態をNanoTerasuで分析―高速充電可能なリチウム電池開発に向けた基盤データを取得」(2026/08/06)
理工学部・教養教育の土屋文教授は、2026年8月6日、NanoTerasuのビームライン(BL08U)にて、軟X線を用いたX線吸収微細構造(XAFS)法によって、異なる速度で充放電されたリチウム電池内の液体電解質(LiPF6)およびリン酸鉄リチウム正極材料(LiFePO4)界面近傍の電子状態を調べました。
なぜ「高速充放電された電池」を調べるのか
リチウム電池は、スマートフォンなどの小型電子機器から電気自動車(EV : Electric Vehicle)まで、幅広く使用されている二次電池です。特に、長距離移動用のEVに求められることは高速充電を実現することであり、高い抵抗を有する正・負極/液体電解質界面におけるリチウムイオン移動機構を速度論的な観点から明らかにすることが極めて重要になります。
これまで土屋研究室では、イオンビーム分析の1つである反跳粒子検出(ERD : Elastic Recoil Detection)法を用いて、低速、中速および高速で充放電されたリチウム電池内の正・負極/液体電解質界面近傍のリチウム濃度分布を直接測定してきました。リチウム濃度分布のデータに加えて、今回得られた正・負極材料を構成する各元素の電子状態の情報を組み合わせて、固液界面近傍におけるリチウム移動機構の充放電速度依存性を明らかにする手法を確立します。この手法を基に、バッファー層およびイオンミキシング等による界面改質処理を施しながら高速充電可能なリチウム電池の開発を目指します。
今後の展開
EVの普及に伴い、使用済みリチウム電池の処理が世界的な課題となっています。コバルト(Co)やニッケル(Ni)など高価な金属を含む正極材料は、金属回収を目的としたリサイクルの採算が取れるため産業化が進んでいます。一方、LiFePO4は安価で安全性が高いため急速に普及が進む反面、含有金属の経済的価値が低く、従来のリサイクルでは採算が合いにくいという課題があります。
土屋研究室では、廃棄LiFePO4正極材料の電池外用途への転用を視野に入れた研究に取り組んでおり、ERD法およびXAFS法を組み合わせて、室温において二酸化炭素(CO2)や水蒸気(H2O)に曝されたLiFePO4の各元素濃度分布および電子状態を調べて、大気からのCO2吸収やH2O浄化などの環境材料としての可能性を探っています。
名城大学では引き続きNanoTerasuを活用した研究を推進し、産学連携による社会実装を目指します。







