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- 【採択研究紹介】モノテルペン遺伝子導入による害虫抵抗性花卉育種に関する研究
プロジェクト部門 令和7年度研究促進事業費 研究代表者:津呂正人(農学部・教授)
研究内容・今後の展望
日本における切り花などに用いられる観賞用花き生産は、高度に集約的に行われており、野菜や果物と異なって食用としないこと、観賞用として価値の見いだされる花器に昆虫が多く飛来し、吸汁痕を残して価値を低減させることから、少しでも飛来頻度を低減させるために、他の園芸作物と比較して化学農薬の使用が多く、環境への負荷が高い。そのため、飛来昆虫の接触が少ない花きの開発が求められている。
他方、BTトキシンなどを生産させる遺伝子組換え植物は昆虫に対して抵抗性を示すものの、一度は吸汁を行って齧痕を残すことから他の抵抗性の獲得が必要となっている。昆虫は花器の色と香りを識別して飛来するターゲットを決めており、それらを改変することで飛来昆虫を低減させることが期待できる。
本研究では、多くの昆虫が選好・忌避性を識別するモノテルペン化合物のうち、忌避性を示す化合物を合成する酵素遺伝子を導入し、花弁特異的に発現するようにした組換え体を作出し、花器から発散される香りで飛来昆虫を低減する試みを行う。このことが実証できれば化学農薬の使用を低減し、環境負荷の少ない花き生産が可能となると期待される。