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- <レポート>リチウム電池内の正極(LiFePO4/Li2MnO3)の電子状態解析に「NanoTerasu」を利用(2026/2/16)
理工学部・教養教育の土屋 文 教授は、NanoTerasuの軟X線XAFS(X線吸収微細構造)ビームライン(BL08U)を用い、充放電されたリチウム電池正極材料の電子状態を明らかにするための実験を行いました。
電気自動車(EV)や再生可能エネルギー貯蔵用デバイスの普及に伴い、リチウムイオン電池にはさらなる高容量化と長寿命化が世界的に求められています。電池性能を左右する鍵の一つが、充放電時にリチウムイオンが出入りする「正極材料」です。正極を構成する元素がどのような電子状態にあるのかを詳細に把握することは、高性能な電池開発の重要な指針となります。
今回の実験では、特性の異なる2種類の正極材料、LiFePO4(リン酸鉄リチウム)およびLi2MnO3(リチウムマンガン酸化物)を対象としました。LiFePO4では鉄(Fe)・酸素(O)・リン(P)、Li2MnO3ではマンガン(Mn)・酸素(O)の電子状態をそれぞれ測定。充放電に伴う反応(酸化還元)や電荷補償のメカニズム解明を目指しています。
ナノテラスでの実験(2026/2/16)
当日は、土屋教授が研究室で事前に準備したサンプルをNanoTerasuへ持ち込み、XAFS測定を実施しました。材料ごとに測定元素を切り替えながら高精度なデータを取得し、0、50および100%充放電状態(SoC0%、SoC50%およびSoC100%)にあるLiFePO4およびLi2MnO3中の各構成元素の電子状態の変化を調べました。
取得したデータは今後、研究室にて解析を行い、電気化学測定による電池特性評価、イオンビーム分析の反跳粒子検出法によるLiおよび水素(H)濃度分布および第一原理計算による正極活物質の状態密度等の結果と照らし合わせることで、充放電における正極中のリチウム挙動の理解をさらに深める予定です。
最後に
土屋教授は、「充放電された特性の異なる正極材料表面およびバルク内の電子状態を同時に測定できたことは大きな成果。今後は解析を進め、充放電によるリチウム電池内のリチウムイオンの移動機構についてより深い理解につなげたい」と展望を語りました。
土屋教授は今後も、最先端の放射光計測技術を活用し、エネルギー課題の解決に貢献する革新的な材料・デバイスの創出を目指した研究を推進していきます。








