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- <レポート>酵素の結晶構造の解明に「NanoTerasu」を利用(2025/12/07)
農学部の志水 元亨 准教授らの研究グループは、植物バイオマスの主成分の一つであるリグニンおよびその構成成分の分解酵素を研究しています。
研究グループは、NanoTerasu の蛋白質構造解析ステーション(BL09U)を活用し、これら酵素の結晶構造解析に取り組みました。
NanoTerasu利用前ARCBSとの相談と測定サンプル準備
酵素の結晶構造解析に関しては、東北大学 先端生体高分子構造研究センター(ARCBS)に相談しながら準備を進めました(実験の概要図参照)。測定サンプルは、名城大学内で結晶化した酵素をピンにマウントし(写真1)、液体窒素によるクライオ(急速凍結)を行い、Uni-Puck に収納しました。その後、Uni-Puck をドライシッパーに入れて NanoTerasu まで輸送しました。サンプルの調製は、志水准教授のほか、研究室所属の鈴木さん(研究員)、川嶋さん(修士課程2年生)、野原さん(学部4年生)が担当しました(写真2)。

NanoTerasuでの実験(2025/12/07)
BL09U に設置された蛋白質構造解析ステーション(MX-ES)では、メールイン方式による全自動測定システムが整備されており、今回の実験でも、志水研究グループが送付した結晶試料をもとに、ARCBS のスタッフが、試料マウントから回折データ取得までを一括して実施しました。
実験の様子はこちら(動画)。
取得されたデータは、東北大学サイバーサイエンスセンターのスーパーコンピュータ「AOBA」と連携した解析パイプラインにより、測定後すみやかに三次元構造モデルの計算へと進められます。
最後に
今後、得られた立体構造情報から、酵素の構造解析を進め、分子改変設計、バイオ燃料生産、食品加工・機能性食品開発、など、幅広い応用展開につながることが期待されます。
志水准教授は「大学内で酵素精製から結晶化までを完結し、NanoTerasu の最先端ビームラインを利用することで、本格的な構造解析研究を進められる手応えを得た」と語っています。
今後は、今回の成果を足がかりとして、他の酵素や関連タンパク質へ対象を広げるとともに、本学内の生命科学系研究者との連携や、企業との共同研究へと発展させていく予定です。
「NanoTerasu」とは
「NanoTerasu」は、東北大学青葉山新キャンパス(宮城県仙台市)に建設された世界最先端の放射光研究施設です。この施設では、放射光と呼ばれる非常に明るく強い光を用いて、1メートルの10億分の1というナノのレベルで物質を観察することができます。
名城大学と東北大学は、2019年にそれぞれの特色や教育研究資源を生かして相互に連携協力し、自然災害等の減災研究や「NanoTerasu」を活用した先端研究等、卓越した学術研究を通した人材の育成や教育の充実に寄与することを目的とした、包括連携協定を締結しています。本学は「NanoTerasu」のコアリションメンバーとなっています。
NanoTerasuの詳細はこちら
本学のNanoTerasuの活用事例はこちら
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