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<レポート>カーボンチェーンの電子状態の解明に「NanoTerasu」を利用(2025/10/31)

公開日時:2025.11.11
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理工学部応用科学科の丸山 隆浩 教授らの研究グループは、直径0.8 nm以下の単層カーボンナノチューブ内部に一次元カーボンチェーン(SWCNT)を高収率で内包・形成する手法を確立し、その成果を 2025年8月に Chemical Physics Letters に発表しました。カーボンチェーンは理論上「最も硬い物質」とされ、鎖長に応じてバンドギャップが変化するなど特異な電気・機械特性が期待されます。一方で、カーボンチェーンは単独では大気中で不安定なため、SWCNT内包体としての構造および電子状態を非破壊・元素選択的に検証する高度計測が不可欠でした。そこで、NanoTerasuの軟X線吸収微細構(XAFS)を活用し、カーボンチェーンの電子状態解明に取り組みました。

NanoTerasuでの実験

 

事前に研究室で準備したカーボンチェーンが内包されたSWCNTと、内包されていないSWCNTを持参し、NanoTerasuの試料ホルダーにセットして、電子状態の測定を実施しました。測定はC K吸収端近傍のXAFSを用いて行い、SWCNTの参照データと比較したスペクトルを得ました。取得したデータは研究室に持ち帰り、詳細な解析を行ったうえで、カーボンチェーンの電子状態のモデルとして整理・解明していきます。

 

 

最後に

 

丸山教授は、「今回の実験により、カーボンチェーンの電子状態解明への手がかりを得た。今後は試料の品質をさらに高め、カーボンチェーンの構造—物性の因果関係を精密に検証し、学術的意義を加速させたい」と述べました。
また「今回はNanoTerasuのX線吸収分光(XAFS)を用いたが、PhoSICや東北大学と連携し、NanoTerasuの複数の最先端計測手法を組み合わせて、基礎物性の解明から応用展開までの研究を進めたい」と語りました。

 

「NanoTerasu」とは

 

「NanoTerasu」は、東北大学青葉山新キャンパス(宮城県仙台市)に建設された世界最先端の放射光研究施設です。この施設では、放射光と呼ばれる非常に明るく強い光を用いて、1メートルの10億分の1というナノのレベルで物質を観察することができます。

名城大学と東北大学は、2019年にそれぞれの特色や教育研究資源を生かして相互に連携協力し、自然災害等の減災研究や「NanoTerasu」を活用した先端研究等、卓越した学術研究を通した人材の育成や教育の充実に寄与することを目的とした、包括連携協定を締結しています。本学は「NanoTerasu」のコアリションメンバーとなっています。

NanoTerasuの詳細はこちら

本学のNanoTerasuの活用事例はこちら

 

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