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名城大学は冒険ができる環境!
長田典之(農学部・生物環境科学科・准教授)
- 公開日時:2022.10.03
- カテゴリ: フェノロジー 常緑樹 落葉樹 生産性 温暖化
研究情報
期間 |
2019~2021年度 |
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種目 |
基盤研究(C) |
課題/領域番号 |
19K06130 |
課題名 |
暖温帯林共存樹種の葉のフェノロジーと被食率、生産性の関係に基づく温暖化影響の予測 |
取材日 | 2022-04-11 |
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樹木のフェノロジー(植物の発芽・開花・落葉など、生物の活動周期と季節との関係を研究する学問)を研究されている農学部・生物環境科学科の長田典之准教授にお話を聞きました。
地球温暖化によって起こる森林の変化を予測?
科研費で行った研究を教えてください
森の中には色々な樹木があります。日本のような季節性がある環境だと、春になると葉がどんどん開いてくるのですが、調べてみると樹木の種(しゅ)によって葉が開く時期がズレることが分かります。まず、「その差は何なのだろう」という純粋な学問的興味を持ったところから始まり、科研費は応用的な側面を重視するので、地球温暖化が起こると葉が開く時期はどういう風に変わっていくのかということや、温暖化でそのズレが広がると早く葉が開いた種(しゅ)はたくさん光合成ができるので、生長に有利になって森林自体が変化していくことを調べ、温暖化による森林の変化を予測するために細かく見ていくというような研究です。
例えば、開き始めたばかりの植物の葉はとても柔らかくて食べやすいので虫の大好物です。温暖化した時にその葉の開きの早まり方と虫が出てくるときにズレが生じるとどうなるのかということを調べています。一番分かりやすいのが「花」で、開花時期と虫の活動時期がズレると受粉のタイミングや関係性が変わってしまいます。いわゆる生態系のピラミッドは、季節性に強く影響を受けていて、「いつ葉ができて、花が咲いて、果実がなるか」それによって利用できる虫がかなり変わるので、温暖化すると季節性を介して相互関係が変わりますという話ですね。
今回の科研費で研究はどこまで進みましたか
植物の葉が開いて完成形になるまでにどれくらい虫に食われているのか、それに対して植物側も防御物質などを生成して自分を守りますので、その辺りを細かく調べてパターン整理をやりました。本科研費の研究期間は終わりましたが、今も続けています。
今後の展望はいかがですか
今までの研究をもっと広げていくことに加えて、野外観察と実験を組み合わせることを考えています。具体的に言うと、冬に枝を取ってきて水に差しておいたものを使って、細かく生育環境を人為的に設定して、今まで野外観察で行ってきたことを実験環境でもできないかということを試行錯誤しながらやっています。次の科研費応募に向けて色々とチャレンジしているところです。
アイデアは学会での雑談から?
コロナ禍での研究活動はいかがでしたか
出張ができないという不便さはありましたし、研究室の学生を卒業研究でいつも北海道へ連れて行っていたのですが、それができなくなりました。でも悪いことばかりではなくて、入構禁止などで実験ができなくなったことで逆に研究に集中する時間が作りやすくなった部分があって、バランスがちょっと変わった感じですね。それほど大きな影響はなかったと思っています。
ただ、学会がすべてオンラインとなって、ほかの研究者と気さくに雑談ができなくなったのは大きなマイナスですね。科研費に繋がるようなアイデアは、そういった場の雑談から広がることが多いんです。普段、学会以外では話すチャンスがない研究者との何気ない会話にヒントが隠れていることがあります。メールや電話となると1つハードルが上がってしまう感じがしますよね。
科研費に応募するモチベーションはなんでしょうか
名城大学は恵まれていて、一定の研究費がもらえるので実は不自由はそれほどないかもしれません。今まで所属していた大学は研究をするためには科研費を取らざるを得ない状況でした。でも、研究をやっていく上で、研究費を取ることと論文を書くことは一番大事なことだと思っています。確かに不採択になったりしてつらい部分もあるけれど、逃げずに日々反省しながらやっていくしかないと思っています。科研費は不採択の場合でも審査結果が開示されるので、それを元にブラッシュアップして再チャレンジすることもできます。
どの種目に応募するかは一番悩むところですね。安全志向で行くか冒険するか、予算が大きくなればそれだけできることは多くなるので、多少冒険しても上を狙ってみようかと考えたり。色々と戦略を立てつつも時には勇気も必要だと思っています。その点で言うと、名城大学は一定の研究費をもらえているので冒険しやすい環境と言えます。研究者としてやっていく以上、基盤研究(B)くらいは目指したいと思ってがんばっています。
関連リンク
- researchmap
https://researchmap.jp/osadada - 科学研究費助成事業データベース
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19K06130/ - 農学部生物環境科学科植物保全学研究室
http://www-agr.meijo-u.ac.jp/labs/nn015/top.html