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- <開催レポート>「研究インテグリティ・安全保障輸出管理に関する講演会」を開催しました(2024/11/29)
2024年11月29日(金)大学運営会議において「研究インテグリティ・安全保障輸出管理に関する講演会」を開催し、大学運営会議メンバーおよび事務職員・URAら約70名が出席しました。
最初に、研究インテグリティ・マネジメント委員会の統括責任者である大野栄治副学長から、本講演会の開催趣旨について説明がありました。大野副学長は「最近よく耳にする『研究インテグリティ』だが、研究者や大学が具体的に何をするのかがはっきりしていないと感じている方も多いのではないか。『研究インテグリティ』は、研究の国際化・オープン化による新たなリスクにより、研究者が利益相反・責務相反などに陥らずに、研究活動における健全性・公正性・透明性を確保すること。また、大学においては国際的に信頼性のある研究環境基盤の構築により、研究活動の透明性を確保し、説明責任を果たすといった『規範』と説明されることが多い」と説明しました。また、「本学は本年7月に各教員を対象に確認アンケートを行い、9月末にマネジメント体制および規定を整備したばかりである。次の取り組みとして、文部科学省などから強く求められている『研究インテグリティの確保』についての理解を深め、大学としての対応を共に学ぶ目的で、本公演会を開催する」と述べました。
また、講師としてお迎えした宮林毅教授について「現在、名古屋大学にて特任教授および学術研究・産学官連携統括本部学術連携リスクマネジメント統括室長、学術研究・産官学連携推進本部研究支援・人材育成部門の研究インテグリティユニットリーダーを務めておられる。2016年には名古屋大学の安全保障輸出管理の輸出管理責任者に、2024年には内閣府の研究インテグリティ検討委員に任命されるなど、研究インテグリティおよび安全保障輸出管理に関する豊富な知識と経験をお持ちである。本学も経済産業省安全保障貿易管理促進事業アドバイザーとして、安全保障輸出管理をサポートしていただいている。本日は豊富なご経験と専門知識に基づいたご講演をお願いしている」と大野副学長は話しました。
研究インテグリティ確保のための考え方と取り組み事項
宮林教授は、まず『研究インテグリティ』とは何かというところから説明を始めました。その後、研究インテグリティ確保の国際動向について述べ、国内での規定整備や体制整備の状況を述べました。そして「研究インテグリティ確保のためには、情報収集・情報の一元管理とともに適切なマネジメントを実施する必要がある」と話しました。
続いて、研究インテグリティ確保のためのマネジメントをするうえで求められる新たなリスク対応の例を挙げて、複合的なリスクマネジメントが要求されるので、あらゆる案件の見直しが必要であると話しました。また、研究インテグリティは研究だけではなく、研究に起因する教育や社会実装においても、その確保が求められているという話題は大変印象的でした。
宮林教授は「今までは『研究公正』のみが求められていたが、現在ではトータルリスクマネジメントである『研究インテグリティ』が求められ、将来的には『組織としてのインテグリティ』や『コンプライアンス経営』といったすべてのステークホルダーのエンゲージメントが得られる互恵関係が構築されていくだろう」と話しました。
最後に、同じく重要度が年々増している安全保障輸出管理についても、手順やみなし輸出の法令改正などについて説明した後、具体的な事例を用いて、どういったときに輸出管理が必要かなどを解説して講演を終えました。
その後の質疑応答では「本人が意識せずにリスクを冒してしまうことがあると思うが、その場合はどうチェックするべきか」という質問があり、宮林教授は「防止方法は啓発教育以外にはない。利益相反マネジメントの相談件数が非常に多くなっているが、こういった過去の相談から起こりうることを事前に予測することができる」と答えました。ほかにも複数の質問があがり、宮林教授は1つ1つに丁寧に回答していました。
最後に、大野副学長が「具体的な事例や実践的なアドバイスを交えながら、運営目線ならではの内容で大変勉強になった」と話し、講演会は終了しました。