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【採択研究紹介】地球温暖化による冬季の水温上昇と融雪出水の増大が希少魚類に及ぼす影響予測

公開日時:2024.04.01
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プロジェクト部門 令和5年度研究促進事業費 研究代表者:谷口義則(人間学部・教授)

研究内容・今後の展望

本研究は、世界自然遺産である北海道・知床の川に生息する希少魚オショロコマ(図1)を対象に行っています。北海道はイワナの仲間・オショロコマの世界最南端の分布地です。とくに知床半島は、古くはアイヌの人々にシリエトク(=地の果ての意味)とも呼ばれ、流氷が着岸するなど、道内でも指折りの寒冷地です。このような寒冷地にも地球温暖化の影響が認められ、最高気温は1980年代の平均5.7℃から直近10年の平均7.0℃にまで上昇しています。オショロコマは水温20℃を超えると餌を食べなくなります。私は大学院生の時代から知床を訪れ、オショロコマの研究を行ってきましたが、最近では水温が20℃を超える川が現れるようになってきました。

 

本研究は、半島全体を網羅するように河川を調査し、夏の気温上昇に加えて冬の気候変動による降雪量や融雪出水の多寡とオショロコマの関係を明らかにしようとしています。研究の成果は知床を管理する環境省、林野庁、知床財団等と共有し、オショロコマの保全を目指しています。なお、調査中にヒグマ(図2)に遭遇することも珍しくないため、いつもクマ鈴を鳴らし、クマ撃退スプレーを持ち歩いています。キャンプ地にもヒグマが訪れることがありますから、同行する研究室の学生たちも緊張した面持ちです。しかし、漁師さんから採れたての羅臼コンブを頂いたり、港で魚釣り(本当にたくさん釣れて驚きます)をして煮付けにして食べたり、醍醐味溢れる調査地と言えるでしょう。

 

図1 知床のオショロコマ(写真:三沢勝也)
図2 知床の調査地で出会った母ヒグマと3度の子グマ(写真:川口洋一)

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