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<イベントレポート>T-GExリトリート合宿に近澤助教・野崎助教・黒川助教が参加しました(2024/9/9-10)

公開日時:2024.10.16
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2024年9月9日(月)~10日(火)T-GEx(世界的課題を解決する知の「開拓者」育成事業)令和6年度リトリート合宿が、JRゲートタワー カンファレンス(名古屋市中村区名駅)にて開催されました。本学からはT-GExにアソシエートとして参画している、農学部・生物資源学科の黒川裕介助教、農学部・応用生物化学科の近澤未歩助教、情報工学部・情報工学科の野崎佑典助教の3名が参加しました。

 

今回は、このT-GExアソシエート3名がリレー形式でレポートします。

 

1日目:9月9日(月) 近澤 未歩 助教<農学部・応用生物化学科>

9:30から開始されたリトリート合宿は、始めに幹事から企画の趣旨が説明された。今回のテーマは『次世代型「勇気ある知識人」: 未来の課題に立ち向かう力を備え、社会をより良い方向へ導く存在になろう!』で、グループワークを通して互いを理解した上で新しい課題を見出し、挑戦することに繋げることが目的の1つであるとの説明があった。次にメンバーの自己紹介が行われた。スライドを用い、各自の研究内容について5分程度で紹介した。昼食時には、研究のことや私生活のことなどさまざまな話をするよい機会となった。

 

午後からは、1つ目の企画『「知の融合」の一歩先へ!〜未来の社会に研究成果をどう還元していくか〜』が行われた。将来、起こり得る課題や環境変化を構想し、中長期視点でそれぞれの研究が社会にどのように役に立つのか、役立てるのかをグループで考え、アイデアをまとめた。

 

具体的には、3~5人のグループでアイデアを出し合った後に、テーマを1つに絞り、プレゼンテーション用の発表資料にまとめ、各グループがアイデアの発表・質疑応答を行った。他の参加者は、それぞれのプレゼンテーションを独創性・実現性など、複数の項目についての評価・コメントした。そのフィードバックを受けて、再度グループ内で振り返りと改善点の検討を行った。

 

将来起こる課題には、現時点で解決可能と考えられるもの、解決方法が未だにないもの、わかっていないものなど、さまざまある。また、そこには自身の研究や関連分野の研究が役に立ちそうなものがある一方、まったくつながりが見えないものもある。実際、この時のアイデアに対する評価項目には、実現可能性に加え、アイデアのワクワク感(魅力や面白さ)や独創性などがあり、これは、単に実現可能なだけでなく、夢があってこれまでにない新しいアプローチであることが良い構想であることを示していた。

 

私たちは、研究分野の異なる4人のグループであったため、全員が専門分野を活かせ、ワクワク感があり、かつ実現可能であるアイデアを目指して、グループワークに取り組んだ。すべての人が幸せになれるための手段として『食』に着目し、誰もが健康でいられ、かつ食自体も楽しめるような食事体制の提供、健康管理のためのデバイス開発、幸せな食環境のVRによる整備などを発表した。

 

大学や企業の異なる現場で働いている参加者の意見は、自分では思いつかないようなものが多く、またプレゼンテーションの際の資料の作り方、発表をわかりやすく魅力的にするための工夫など、学ぶ部分が非常に多かった。また他グループのアイデアは多様な視点から課題を捉え、自分たちの研究分野を活かした課題解決方法が示されており、大変興味深く感じた。

 

1日目終了後&2日目:9月10日(火)午前 野崎 佑典 助教<情報工学部・情報工学科>

リトリート合宿1日目の終了後に、希望者で懇親会を開催した。それぞれの研究の専門分野に関する内容や、JSTさきがけなどのプロジェクトの様子などの話題から、普段なかなか話すことができない内容まで、オフラインでざっくばらんに情報交換を行った。研究者個人の素の部分も知ることができ、大変有意義だった。

 

2日目の午前は、2つ目の企画の前半「研究生活やりくり相談」を行った。これは、研究生活に関する悩みについてグループ単位で情報共有し、その結果を発表するというものだった。私のグループは黒川助教を含めた5名で、途中からは名古屋大学のURAも加わり、学会や組織運営に関する悩みを共有した。

 

学会運営については、若手研究者が少なく、運営委員の仕事が若手に集中してしまうことがあるという悩みが共有された。また、女性研究者特有の悩みの1つとして、組織に女性教員が少ないことから、女性というだけの理由で頼まれる役職があり、それが可視化(周知)されていないことによって、業務負担が増えてしまうというものがあった。ほかにも、対面の会議が多く、時間が取られているという悩みも話題にのぼった。

 

これらの解決策としては、若手研究者や女性研究者がどのようなことについて悩んでいて、どう改善してほしいと考えているのかを、他のベテラン教員と共有することが大事なのではないかという意見が出た。また、学会や研究会が細分化されていることが、運営業務が膨大になっている一因と考え、組織数を減らしてコンパクトにすることも効果的ではないかという意見も出た。現状、若手研究者だけですべてを改善することは難しいが、将来的には、自身が学会や組織運営の中核を担うことになるため、その際に改革できるように意識しておく、それに加え、さらに若い世代に対しても、そのような意識付けが重要なのではないかという考えが印象的だった。他の研究者の現状を知ることができ、また彼らのさまざまな視点や考え方にも触れることができて、大変勉強になった。

 

9月10日(火)午後&総括 黒川 裕介 助教<農学部・生物資源学科>

2日目の午後は、2つ目の企画の後半「多様な立場からの議論/意見交換会」を行った。それぞれのグループに以下の4つのテーマが割り当てられた。

  1. 博士に進んで欲しい先生、修士で卒業したい学生
  2. 在宅勤務したい部下と、出社してほしい上司(部下と上司じゃなくてもよい)
  3. プロセスを評価して欲しい人と、成果を評価して欲しい人
  4. インパクトの大きな研究は知的好奇心を膨らませた先にあるのか、社会貢献(実用化)を見据えた戦略の先にあるのか?

 

これまでの企画では、グループ内で自由に議論を進める形式であったのに対して、ここでは、自らの意思とは無関係に、テーマ内のいずれかの立場をメンバーでランダムに決定し、ディベート形式で意見交換を行うという点が特徴的であった。

 

野崎助教のグループは「1. 博士に進んで欲しい先生、修士で卒業したい学生」、近澤助教・黒川助教のグループは「3. プロセスを評価して欲しい人と、成果を評価して欲しい人」をテーマに意見交換を行った。近澤助教・黒川助教のグループにおいて、『プロセス重視派』は「仕事の結果以外の評価も行える」「成果はプロセスの積み重ねである」「熟練していない部下・学生にとっては成果が出ない場合がある」などの意見があった。対して『成果重視派』は「仕事の目標を生み出しやすい」「チーム内の共通理念・コンセンサスを得ることが容易」「仕事のスピード感が上がりやすくなる」などの意見があった。

 

ディベート後には、討議した内容を1つのフォーマットにまとめ、その過程で得た気づきや感想をグループ内で共有した後に、代表者が発表した。普段、なかなかする機会のないディベート形式の意見交換は、テーマに対して多角的な理解を深めることにつながった。この手法は、自身の研究テーマを検討する際にも有効であると感じ、また、授業内でも学生へのアクティブラーニングの一環として取り組みたいと考えている。

 

最後に、1つ目の企画『「知の融合」の一歩先へ!〜未来の社会に研究成果をどう還元していくか〜』の各グループの発表に対する表彰が行われた後、事務局からは「参加者の自由な意見交換が活発に行われたことは大変喜ばしい。今回は、企業からも多くの参加があったため、今までとは違った雰囲気や議論内容となったことも非常に良かった点である。近年、アカデミックな場だけでなく、民間企業などでも、博士号を取得している人材の活躍できる場が広がっているように感じている。若手研究者であるみなさんには、自身の研究も博士課程学生の教育にも力を入れていただきたい。我々もみなさんがますます活躍できるようサポートしていく」とコメントがあり、2日間にわたるリトリート合宿は終了した。

 

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