2024年11月28日(木)薬学部の森和俊特任教授が3年生対象科目の教壇に上がり、『勉強・実習から研究へ -新たな発見を目指して-』と題する講義を行いました。
森特任教授は、はじめに、大学での勉強や実習は、あらかじめ用意された内容に沿って行い、一つの答えが得られるのに対し、研究は答えがわからない、あるいは答えが一つと限らない問いに取り組むもので、そこには研究者の個性が表れることを説明した上で、1950年代から80年代にかけて進展した各細胞小器官の働きや役割分担の解明を例に、学術の発展に大きく寄与した研究者がどのように研究を進めてきたのかを解説しました。
具体的な事例として、(1)生体細胞内の物質移動のメカニズムの解明、(2)タンパク質の高次構造形成を助ける分子シャペロンの発見、(3)細胞内でのタンパク質の分解機構の解明を取り上げ、世界の研究者の発表が、ある者は学会に大きな反響を巻き起こし、またある者は当時の学術的常識を覆す内容であったがゆえに学会から認められず長期間埋もれ、ずいぶん後になってようやっと日の目を見ることになったなど、多くはノーベル賞受賞に至った著名研究者の業績を、人物に軸足を置いた視点から紹介しました。そして、最後に「研究者の個性が研究を変える」と締めくくり、半年後には研究室に配属されて研究を開始する3年生にエールを送りました。
- 熱のこもった森特任教授の講義
- 司会を務めた山田修平薬学部教授
教室は約250名の聴講者で満員となり、時に学生の反応を確認しながら講義を進める森特任教授の熱のこもった言葉に聴き入っていました。講義後の質疑応答では、配属される研究室の選び方や研究テーマの選び方、あるいは臨床と研究のどちらを選ぶかなど、自らの進路選択を見据えた質問が出され、森特任教授からは、まずは自身の興味を大切にすることなどのアドバイスが送られました。