2.3. がん予防2.4. 脳機能障害予防2.5. 機能性分子の抽出2.6. 機能性分子の高機能化3. 今後の展望分探索を行い、新たな抗肥満物質を見出しています。近年、健康状態と要介護状態の中間に位置し、適切な介入によって健常に回復し得る「フレイル(虚弱)」が注目されています。フレイルの危険因子として、糖尿病や肥満におけるインスリン分泌不全を介した代謝異常が報告されており、代謝異常の改善・予防はフレイル予防にも有効と考えられます。今後は、本プロジェクトで見出された機能性成分を基盤として、糖尿病・肥満・フレイルを包括的に予防する新たな健康戦略への展開を目指します。ヒト体内では、健康な状 態であっても 1 日あたり約5000 個のがん細胞が発生していると推定されており、1つのがん細胞が形成されてから検診等で発見可能な大きさに達するまでには 10 ~ 15 年を要するとされています。このことから、日常的な食生活におけるがん予防の重要性が高まっています。本センターでは、抗がん活性を有する機能性成分の探索および天然資源の網羅的スクリーニングを実施し、これまで未知であった新規化合物の発見に成功しています。うつ病は、心理的ストレスへの長期曝露によって発症する精神疾患であり、初期には意欲低下がみられ、進行すると抑うつ障害、不安障害、睡眠障害などへと移行します。国内におけるうつ病関連の社会的損失額は約 2兆円に達すると推計されており、社会的にも対応が急務とされています。本センターでは、日本の伝統的発酵食品である麹に着目し、麹を用いて調製した食肉加工品抽出物(食肉抽出物)の経口摂取がうつ病予防に有効であるかを検証しました。その結果、うつ病モデルマウスにおいて、食肉抽出物が有効であることを見出しています。現在、食肉抽出物中の有効成分の同定および作用機構の解析を進めています。腸内細菌研究の進展により、食生活の差異が腸内フローラ構成および腸内細菌の代謝活性に影響を及ぼし、それが宿主の健康状態や疾患発症と密接に関連していることが明らかとなっています。日本では、味噌などの伝統食品を通じて麹菌を摂取する機会が古くから存在しましたが、その麹菌が腸内環境に及ぼす影響については十分に解明されていません。本センターでは、大腸炎モデルマウスに麹菌を投与する実験を行い、麹菌がプレバイオティクス作用を示すことを見出しました。すなわち、麹菌そのものがプレバイオティクス効果を有することが確認され、新たな健康食品素材としての応用可能性が示されました。さらに、産学連携によって年間約 1 万トン廃棄されている卵殻膜を原料とし、麹菌で発酵させた「卵殻膜麹」を疾病予防食品として開発しています(経済産業省 成長型中小企業等研究開発支援事業〈Go-Tech 事業〉採択)。これまでの研究成果から、「卵殻膜麹」が疾患予防・改善に寄与する可能性を明らかにしています。カロテノイド類は自然界に広く存在し、強力な抗酸化作用と多彩な色調を有することから、健康食品、化粧品、食品着色料など多用途に利用されています。カロテノイドは多数の共役二重結合を有し、天然では主にトランス型として存在しますが、近年、シス型カロテノイドの方が吸収性・蓄積性に優れ、さらに抗がん作用・抗肥満作用などの生理活性が高いことが報告されています。本センターでは、カロテノイドの効率的異性化技術を確立し、異性体間における生理活性の差異の解明、分析法の開発、ならびに異性体の応用展開を進めています。疾患予防食科学研究センターは、薬学・農学・理工学の学際的連携に基づき、健康長寿社会の実現を支える「疾患予防食科学」のもとにした機能性食品成分を探索し、天然資源由来の機能性分子を数多く同定しています。今後は、感染症、生活習慣病(肥満・糖尿病)、がん、精神・神経疾患など多様な疾患群に対して有効性を有する機能性食品成分を基盤とし、疾患予防を重視した特定保健用食品の創出を目指します。また、経済産業省「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」への採択をはじめ、研究成果が社会実装へと発展しつつあります。今後も、薬・農・理工の学際的連携および産学官連携を一層推進し、疾患予防食科学の研究を通じて、予防医学の観点から社会の健康増進に貢献してまいります。4430th Anniversary
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