【デジタルパンフレット】総合研究所30周年記念誌
48/128

1. 研究センター設立背景2. プロジェクト紹介2.1. 感染症予防2.2. 肥満・糖尿病予防疾患予防食科学研究センター研究代表者らに、企業との産学連携を通じて、食物や天然資源に含まれる機能性成分に関する研究も精力的に展開しています。以下では、本センターの研究プロジェクトテーマに沿って、各研究内容の概要を紹介します。近年、急速な高齢化に伴い、免疫機能が低下した易感染性高齢者の増加が顕著となっており、従来型の感染症のみならず、新たな病原体による感染症の発症も増加傾向にあります。加えて、細菌感染症治療に用いられる抗菌薬に対する耐性を示す薬剤耐性菌の増加は、世界的にも深刻な課題です。このような背景から、感染症の治療および予防に有効な薬剤や食品素材の開発は喫緊の課題とされています。本センターでは、名城大学発の抗感染症薬ならびに感染症予防サプリメントの創出を目指し、独自に保有する病原細菌および薬剤耐性菌のコレクションを活用するとともに、天然物由来化合物および高機能化合物を対象に、感染症治療・予防に有効なシーズ探索を行っています。これまでに、細菌感染症治療に有用な化合物を複数同定しています。糖尿病は、インスリンの分泌不全または作用不全により血糖値の制御が破綻する疾患であり、その発症リスクは高脂肪・高糖質食を中心とした欧米型食生活によって増大します。本プロジェクトでは、天然物由来成分を利用し、インスリン分泌促進作用を有する物質の探索を in vitro 系で実施し、これまでに複数の有効成分および抽出エキスを同定しています。さらに、糖尿病リスク因子である肥満症に対して、in vivo 系で予防効果を有する成43第三篇研究活動日本では超高齢化社会が進行し、人生 100 年時代の到来が指摘される中、医療費・社会保障費の確保および医療制度の持続可能性の確保がますます困難となりつつあります。このため、人が「自立」して「健康」に「長期間」生きることが可能な期間、すなわち健康寿命を延伸することは、豊かな人生を実現するうえで不可欠な課題となっています。この観点から、病気を発症してから治療するのではなく、健康な状態を維持しつつ疾病の発症を予防する「予防医学」の重要性が強調されています。予防医学には三段階の予防が存在し、すなわち、(1)一次予防:生活習慣の改善を通じて健康を増進し、生活習慣病等の発症を予防すること、(2)二次予防:疾病の早期発見および早期治療を実施すること、(3)三次予防:疾病治療後に身体機能の維持・回復を図るとともに、再発および合併症の予防を行うことが含まれます。こうした背景を踏まえ、「食」と「栄養」を科学的に解明し、未病状態の改善を目的とした機能性表示食品および特定保健用食品の開発を推進するとともに、健康長寿社会を支える疾患予防食科学の創造を目的として、本組織が設立されました。本学が総合大学であるという特性を活かし、本研究センターは、「食」と「健康」に関する研究を専門とする農学部および理工学部の教員、さらに疾患の発症メカニズムに基づいて天然資源と健康との関連を探究する薬学部の教員によって構成されています。これらの教員が学部の枠を越えて連携し、学際的な研究体制を構築することで、複合的な視点から研究を推進しています。さ村 田  富 保―研究紹介(大学領域指定研究センター)―

元のページ  ../index.html#48

このブックを見る