1. はじめに2. カーボンナノチューブナノマテリアル研究センター研究代表者なナノ材料の合成と応用に関する研究を行っています。また、同時にナノ材料の観測画像の新たな処理・復元技術の開発も進めています。カーボンナノチューブ(CNT)は炭素原子のみから成る六角網面状のグラフェンシートを円筒状に巻いた構造の物質です。飯島教授が 1991 年に発見した CNT は今日のナノ材料研究の先駆けとなりました。現在では高校の理科の化学の教科書にも掲載されており、最も有名なナノ材料の一つとなっています。あまり知られていませんが、飯島教授が発見した CNT は本学の実験装置で合成されたものです。そのため、本学は “ カーボンナノチューブの発祥の地 ” といえます。CNT のなかでも、グラフェンシートが一層のものは単層カーボンナノチューブ(SWCNT)と呼ばれ、グラフェンシートの巻き方(カイラリティ)により金属にも半導体にもなるという特徴をもっています。また、非常に高い電子移動度をもつため、シリコンを代替する次世代の LSI用の半導体素子材料として期待されています。しかし、半導体型 SWCNT のみを選択的に大量に合成することは不可能でした。35第三篇研究活動ナノマテリアル研究センターは 2017 年に本学が文部科学省の私立大学研究ブランディング事業に採択された際に、飯島澄男終身教授を名誉センター長として設立されました。事業終了後も引き続き、“ 新規ナノ材料の開拓と創製 ” を旗印にナノ材料に関する研究を推進しています。ナノ材料とは、数~数十ナノメートルスケール(原子が数百個程度)の微細な物質のことをいいます。物質がナノメートルサイズになると、量子力学的な効果が働き、通常の物質とは異なる様々な性質を示すようになります。例えば、電子の閉じ込めによる発光効率の増加や発光波長の変化や、電子状態変化による電気伝導性の向上がよく知られています。因みに 2023 年のノーベル化学賞は、ナノ粒子(量子ドット)を合成し、その発 光特性を明らかにしたバヴェンディさんら 3 名に授与されています。しかし、ナノ材料は非常に微細なため、長い間、その構造や性質を実験的に直接調べることは困難でした。今世紀に入り、透過電子顕微鏡などの分析装置の発展により原子レベルでの解析が比較的容易になったことから、現在では世界中で多くの研究者が様々なナノ材料を合成し、盛んに研究が行われています。ナノ材料は、形状により、0 次元ナノ材料(クラスター、ナノ粒子)・1 次元ナノ材料(ナノチューブ、ナノワイヤー)・2 次元ナノ材料(ナノシート、グラフェン)に分類されます(図 1)。ナノマテリアル研究センターでは、飯島教授が発見したカーボンナノチューブ(CNT)を中心に、1次元系の酸化物ナノチューブやナノワイヤー、2 次元系のグラフェンや窒化ホウ素、金属酸化物ナノシートなど様々図 1 ナノ材料の種類丸 山 隆 浩 ―研究紹介(大学領域指定研究センター)―
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