1. はじめに2. 研究センターの概要サイケデリック薬物療法による革新的うつ病治療研究センター研究代表者近な疾患でもあります。特に、若年層における死因の最上位が自死である現状は深刻であり、日常的に学生と接する立場にある大学教員としても、看過できない社会的課題となっています。うつ病の治療には、精神療法や薬物療法に加え、休養や生活環境の調整など、さまざまなアプローチが存在します。その中で、私たちは主として薬物療法に着目し、新たな治療法の確立を目指して研究を進めております。次に、現在の抗うつ薬治療の課題と、それを踏まえたサイケデリックス治療の可能性、そして本研究センターの目的と概要について紹介いたします。1959 年に日本で初めての抗うつ薬として「イミプラミン」が上市されて以来、さまざまな抗うつ薬が開発されてきました。しかし、現在の抗うつ薬による治療には依然として多くの課題が残されています。再発率の高さに加え、治療効果が認められない患者が約 30%存在すること、さらに効果発現までに数週間を要することなどが問題として指摘されています。このような背景から、うつ病は依然として治療満足度の低い疾患とされています。近年、マジックマッシュルームに含まれる幻覚成分「シロシビン」や合成幻覚薬「LSD」などのサイケデリックス(精神展開薬、セロトニン作動性幻覚薬)が、うつ病、治療抵抗性うつ病、双極性障害のうつ病相不安障害などに対して、即効かつ持続的な治療効果を示すことが多数報告されています。これを受け、米国食品医薬品局(FDA)はシロシビンや LSD を、うつ病や不安障害に対する革新的治療薬候補として位置づけ、現在、世界各国で臨床応用に向けた研究が進められています。しかしながら、これらサイケデリックスは強い幻視を中心とし31第三篇研究活動このたび、名城大学総合研究所が創立 30 周年を迎えられましたことを、心よりお祝い申し上げます。誠におめでとうございます。総合研究所は、21 世紀を見据え、人類が持続的な発展を遂げるために克服すべきさまざまな課題の解決を目指し、総合大学にふさわしい学際的な研究拠点として、平成 6 年 4 月 1 日に設立されました。以来、幅広い分野で多くの事業を推進してこられました。なかでも「学術研究奨励助成制度」は、多くの所員にとって研究活動を支える欠かせない制度となっており、この支援を通じて外部資金の獲得へと発展させた研究者も少なくありません。こうした制度の存在が、本学の研究力向上に大きく寄与していることは言うまでもありません。名城大学総合研究所が、これからも「知の拠点」としてさらなる発展と飛躍を遂げられますことを心より祈念し、祝辞とさせていただきます。我々は、令和 7 年度学術研究奨励助成制度の研究センター推進事業費の支援を受け、令和 7 年 4 月に「サイケデリック薬物療法による革新的うつ病治療研究センター」を設立いたしました。本研究センターは、老若男女を問わず多くの人々を苦しめている「うつ病」をはじめとする精神疾患の治療を主たる研究対象とし、新たな治療法の開発を目的としております。うつ病は、気分の落ち込みや憂うつ感、意欲の低下といった精神的症状に加え、睡眠障害、倦怠感、易疲労感などの身体的症状を伴う精神疾患です。日本人の約15 人に 1 人が一生のうちに罹患するとされる、極めて身衣 斐 大 祐―研究紹介(研究センター)―
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