【デジタルパンフレット】総合研究所30周年記念誌
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2.「EV シフト」に挑戦する日本の自動車関連企業「EV シフト」は従来の自動車の製品や技術、産業構造を大きく変化させ、そのビジネスモデルとサプライチェーン、産業集積にもさまざまな地殻変動を引き起こします。すなわち、エンジンやトランスミッションが不要となる電気自動車の部品点数は約 2 万点と、内燃機関車と比べて部品点数が大幅に減少し、また、家電など異業種からの新規参入も増加することで、企業間の競争が激しくなっています。そのため、経済産業省は 2022 年、自動車の電動化に伴い需要の減少が危惧される自動車部品に関わる中堅・中小企業が、電動車の部品製造に挑戦するなど「攻めの業態転換・事業再構築」を支援する「自動車産業ミカタプロジェクト」を開始しました。以上のような社会的・経済的背景のもと、総合研究所の支援を得て、経営学部・経済学部の教員により設立された名城大学自動車部品電動化戦略研究センターは、中部・九州・東北というトヨタ自動車が推進する「国内三極体制」を背景に、ミカタプロジェクトの各地域支援拠点とも連携して、自動車関連企業に対するアンケートならびに訪問インタヴュー調査を実施しています。その結果、現在、日本の自動車産業では、電動化による部品点数の減少に伴い、自動車メーカーや大手(一次)部品メーカーはモーターや電池など付加価値の高いコア部品の内製化(「垂直統合」)を強化しており、あわせてテスラが先鞭をつけた「ギガプレス(ギガキャスト)」など部品の統合・一体化も進んでいることから、自動車産業の「縁の下の力持ち」である中堅・中小規模の部品メーカーへの外注量が減少しています。加えて「EV シフト」という歴史的な産業転換を好機と捉えて、中国政府は「自動車強国」となるべく積極的に自国企業による電気自動車の生産・販売・輸出を支援しており、BYD など中国車が欧州や東南アジアなどで販売シェアを伸ばして日本企業の強力なライバルとなっています。さらに「アメリカを再び偉大に」をスローガンに 2025年 1 月に誕生した第二次トランプ政権は、巨額の貿易赤字の削減と米国製造業の復権、米国主導の新たな経済圏構築(脱中国)を目的として、外国からアメリカに輸入されるさまざまな製品に対する関税を大幅に引き上げ、日本からの輸入車(乗用車)に対する関税も 2.5% から15%(2025 年 9 月現在)へ引き上げられました。よって、自動車メーカーや大手部品メーカーは、以上のような「EV シフト」への対応とともに、サプライチェーンを含めたグローバルな生産体制と市場・製品・事業構造の抜本的な見直しを迫られています。その一方で、トランプ政権は 2025 年 9 月に電気自動車等を対象とした購入補助金(税額控除)を廃止するなど、EV 市場をはじめとした自動車産業の先行きはますます不透明感が強まっています。しかしながら、地球温暖化対策としての長期的なカーボンニュートラル実現は日本の国際公約であるだけでなく、世界的に不可逆的なトレンドであり、全固体電池など車載電池のイノベーションや再生可能エネルギーのさらなる普及によって、近い将来、再度、「EV シフト」の大波が押し寄せてくることが予想されます。よって、名城大学自動車部品電動化戦略研究センターでは、短期的な対応や戦略のみならず、中長期的な視点に立って日本の自動車産業の構造と動態を把握するとともに、自動車関連企業が直面する課題を抽出し、新たな機能の創造など持続的な成長・発展のための戦略・政策を調査・研究して、具体的な提言を行っています。2630thAnniversary資料②:名古屋市工業研究所での講演

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