1.「100 年に一度」の変革期を迎えた自動車産業自動車部品電動化戦略研究センター研究代表者カーナ」)。戦後、トヨタ自動車は資金や土地などの制約条件を奇貨として、フォード・システムに市場の変化や多様な消費者嗜好に対応できる柔軟性を付加し、さらにあらゆるムダを排除して高い品質と生産性を両立させる「トヨタ生産方式(TPS)」を確立したことで、1980 年代に自動車産業の「日米逆転」が実現します(「ジャパン・アズ・ナンバーワン」)。フォード・システムの誕 生からおよそ一世紀を経た2016 年 9 月、ダイムラー(現メルセデス・ベンツ)が「CASE(Connected・Autonomous・Shared & Services・Electric)」をキーワードとした中長期戦略を発表、同時期に移動そのものを価値と捉える「MaaS(Mobility as a Service)」の概念とアプリも登場し、自動車産業は「100年に一度」の歴史的な産業分水嶺を迎えました。2020 年に新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生し、グローバルに張り巡らされたサプライチェーンが寸断されると、各国は経済安全保障を含めた経済対策およびカーボンニュートラル(脱炭素)の一環として、走行中は CO2 を排出しない電気自動車の普及を後押ししたことで、一般に「EV シフト」と呼ばれる内燃機関車から電気自動車への転換が急速に進みました。25第三篇研究活動完成車一台あたりおよそ 3 万点もの部品で構成される自動車産業は、「ピラミッド型」のすそ野の広いサプライチェーンを通じて、雇用の創出など地域経済に果たす役割は極めて大きく、愛知のみならず、日本経済の屋台骨を支える基幹産業です。一般に自動車の起源は、1770 年頃、ニコラ = ジョセフ・キュニョーが製作した蒸気機関で動く三輪砲車と言われ、次いで 1827 年にイェドリク・アーニョシュがダイナモの原理を発明、翌年、模型車両に搭載して動かすことに成功し、1830 年代にはロバート・アンダーソンが充電できない一次電池を搭載した電気自動車(EV/BEV)を開発しました。それから約半世紀後の 1885 年、カール・ベンツがガソリンエンジンを搭載した三輪自動車を製作すると、19世紀後半から蒸気・電気・内燃機関などを動力源とする自動車が数多く誕生しました。20 世紀に入り、ヘンリー・フォードは自動車を大量生産して普及させ、個人に移動の自由をもたらすことを目的として、1908 年、規格 化・標準化を徹 底した「T 型」を発売、1913 年にベルトコンベアを用いて T 型の組立作業を体系的に連続させる「大量生産方式」をほぼ完成させました。燃料の供給や道路網など当時の進んだアメリカの社会インフラも背景に、製品(T 型)とプロセス(大量生産方式)の双方にイノベーションをもたらしたこの「フォード・システム」によって、今日に至る内燃機関(エンジン)を基本とした自動車産業の原型が確立するとともに、アメリカに繁栄と覇権をもたらしました(「パックス・アメリ資料①: 北九州産業学術推進機構(FAIS)「クルマの未来館ひびきの」EV 分解展示施設田 中 武 憲―研究紹介(研究センター)―
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