【デジタルパンフレット】総合研究所30周年記念誌
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NEC 筑波研究所で安藤教授から頂いた使用済みの炭素棒を電子顕微 鏡で調べたところ、その棒の先端にCNT が成長していることを発見しました。1991 年 4 月からは、安藤教授が担当する「物理実験」講座を担当するため名城大学に非常勤講師として正式に勤め始めました。以上は発見までの時間経過の客観的説明ですが、発見の動機について続けます。1985 年、クロトーやスモーリー等のフラーレン発見の論文が発表されましたが、全面的には受け入れられませんでした。彼らの発見を支持する論文は、実は 1980 年に米国滞在中に私が研究成果として発表した球状黒鉛の電子顕微鏡写真でした。この球状黒鉛の中心にフラーレン分子の像が捉えられていた。このつながりを通じて、私は彼らと親しくなりました。1990 年 12 月、ボストンの米国材料学会でクロトー氏に再会し、フラーレン研究を勧められました。その数か月後の展開は、前述の名城大の安藤教授の炭素棒につながります。ちなみに、5 年後の1996 年にはクロトー、スモーリー、カールがノーベルを受賞します。CNT 発見に関する最初の論文では複数のチューブからなる多層 CNT でしたが、理論計算で単層 CNT に興味深い特性があることが示唆されると、世界中で単層CNT の生成研究が始まりました。先駆的な研究成果は、1985 年に名城大で実施された「林超微粒子プロジェクト」とも深く関連しています。超微粒子の産業応用の一つに、従来の「酸化鉄」に代わりに「金属鉄」微粒子を用いた新しい磁気記録テープ材料が注目を集めていました。鉄微粒子は空気に触れた瞬間に酸化し、酸化鉄に変わります。酸化を防ぐために、鉄微粒子を炭素膜で被覆する試みが検討されましたが、これは鉄微粒子を炭化水素ガス中で加熱することで解決されました。当時は気づきませんでしたが、実は 5 年後の 1993 年に、古い鉄微粒子の電子顕微鏡写真から、この炭素膜の被覆実験の過程で単層 CNT が生成されていることを偶然発見しました。この方法は現在、単層 CNT を生成する広く知られた方法そのものです。言い換えれば、鉄、ニッケル、コバルトなどの微粒子が高温で炭化水素を分解する触媒として使われます。CNT 誕生から 35 年が経ち、その物理、化学、特性に関する基礎研究はピークを過ぎましたが、多様な応用研究は依然として進行中です。例えば、リチウム電池、次世代高性能トランジスタ、次世代半導体素子製造転写装置用ぺリクル膜、小型 X 線撮影装置、医療などが挙げられます。私の現在の研究では、CNT のようなナノ構造体に特殊な可視光を照射すると可聴音が発生する現象を発見し、それらを論文に纏めています。専門分野の説明が続きましたが、CNT を例に新しい発見がどのように生まれるかを紹介しました。時間と空間の人々のつながりが重要であることをご理解頂ければ幸いです。発見現場に立つ準備も重要な前提条件ですが、次の機会にはこれを紹介したいと思います。1030th Anniversary

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